『いさなとり』 2006-2008

海を目の前にすると、まるで永遠に続いていく「風景の終わり」とも言えるような感覚に襲われる。僕の視線が収束するのは水平線の向こう側、つまり彼岸だ。

「いさなとり」とは海を連想させる、短歌における枕詞である。
海に沈んでいく黄金色の太陽を見ながら、そこに西方浄土を思い描くという古代の太陽信仰が現在でも寺院の儀式として残っている。鮮やかな極楽を夢見て、いったいどれだけの人が海に入っていったのだろうかと想像してしまう。